皆さんは「ケトジェニックダイエット」って聞いたことありますか?
私は普段ローファット(脂質制限)ダイエットを行っていますが、体重が停滞した時や、低脂質な食事に飽きてきたときなどにケトジェニックダイエットを取り入れています。
個人差はあると思いますが、私はケトジェニックダイエットをしているときの方が体重の落ち方がスムーズで、むくみもなくスッキリしている印象です。
「糖質制限と何が違うの?」「どうやって始めればいいの?」という疑問にお応えすべく、ケトジェニックダイエットの概要や注意点をまとめました。
ケトジェニックダイエットとは
ケトジェニックってよく聞くけど結局何なのかしら?
ケトジェニックは糖質をカットして脂質をエネルギー源にするダイエット法です。
なんだ、糖質制限のことか。
糖質制限の一種ですが、厳密に言えば違います。
糖質制限は皆さん聞いたことがあると思いますが、ケトジェニックダイエットは糖質制限の一種です。
しかし糖質をエネルギー源としたまま、ある程度糖質を制限するというものではなく、徹底して糖質をカット(具体的には30〜40g以下)し、脂質をエネルギー源としていくのがケトジェニックです。
ケトジェニック=徹底した糖質制限+高脂質な食事
ロカボという言葉もありますが、ロカボは1日70~130g程度の糖質を摂取し、糖質をエネルギー源としながら、健康維持や軽いダイエットを行っていこうという考え方です。
そんなに糖質を制限して大丈夫なの?
ケトジェニックでは脂質をたくさん摂取して、それをエネルギー源にするので大丈夫ですよ。
普段私たちは糖質を主なエネルギー源としています。しかし糖質をカットして脂質の摂取量を増やすことにより、脂質を分解して合成した「ケトン体」をエネルギー源として使うようになります。
この状態を「ケトーシス」といいます。
脂質がエネルギー源になっている状態=ケトーシス
これによって効率的に脂肪を燃焼していくというのがケトジェニックダイエットの考え方です。
ケトジェニックダイエットに向いている人、向いていない人
ケトジェニックダイエットには向き、不向きがあります。
体質や好みで、ローファット(脂質制限)ダイエットが向いているか、ケトジェニック(糖質制限)ダイエットが向いているか考えていくことが重要です。
糖質をエネルギーにするのが得意な人、脂質をエネルギーにするのが得意な人がいるようですが、そのような体質は自分でもなかなかわかりませんし、判断は難しいです。
どうしても気になる方は下記のような遺伝子検査をするのも一つの方法です。
自分がどのようなダイエットが向いているか、遺伝子の観点からアドバイスをもらうことができます。
一度両方のダイエット法をやってみて、どちらの方が体調がいいとか、体重の減り方がいいとか、自分の体と相談しながら決めてもいいと思います。
また、食べ物の好みもあると思います。
ご飯やパンを食べないなんて絶対無理!という方はローファットの方がいいですし、ご飯よりお肉やお魚、脂っこいものが好き!という方はケトジェニックの方が向いていると思います。
ケトジェニックダイエットの始め方
ではどのようにケトジェニックを始めれば良いのでしょうか。
PFCバランス
PFCバランスというのは、三大栄養素であるP=タンパク質、F=脂質、C=糖質をどのような割合で食べていくかということです。
ケトジェニックダイエットでは、PFCバランスの調整が非常に重要です。
先ほど申し上げたように、糖質を徹底的にカットし、脂質をしっかり摂取することになります。
具体的な食事内容
ケトジェニックダイエットでは、お米やパンを主食とする一般的な食事内容とは違い、特殊な食事となりますので、まずはその食事内容を理解しなければなりません。
糖質について
ケトジェニックダイエットではいわゆる「主食」と言われるような食材は基本的に食べられません。
お米、パン、麺類、最近流行のオートミールも、いも類や根菜類等も避けていくことになります。
また、和菓子屋や洋菓子等のデザート類も避けなければならず、間食の内容も工夫が必要です。
さらに砂糖はもちろん、味噌、みりんなど調味料の中にも糖質が多いものがあり、注意が必要です。
タンパク質源について
タンパク質食材に関しては食べられる物が多いです。
主に程よく脂質が含まれたタンパク質食材を食べることになります。
肉類、魚類は糖質の多い味付けをしているものでなければ基本的に食べられます。
牛肉のステーキ(もちろん豚肉や鶏肉でもOK)や、サバ、鮭等の焼き魚はメインの食材となるでしょう。
ステーキや焼肉が大好き!という方にとってはうれしいですよね。
また、卵もタンパク質と脂質のバランスが良く、他の栄養も豊富なため非常に良い食材です。
チーズもOKです。
オムライスは食べられませんが、チーズオムレツは食べられます。
脂質源について
ケトジェニックダイエットでは脂質をたくさん摂取することになりますが、油っこい物をなんでも食べればいいかと言えば、そうではありません。
サラダ油や揚げ物に多く含まれるオメガ6脂肪酸やマーガリンなどのトランス脂肪酸はなるべく避け、魚の脂やアマニ油等のオメガ3脂肪酸や、MCTオイル、オリーブオイルなどの良質な脂質を多く摂取することが重要です。
中でもすぐにエネルギーとして消費できるMCTオイル(中鎖脂肪酸)は、ケトジェニックダイエットに欠かせないアイテムと言っていいでしょう。
ただ、MCTオイルは加熱調理には使えませんので注意が必要です。
スープに混ぜたり、サラダやその他の料理にかけて摂取しましょう。
コーヒーにMCTオイルを混ぜる「MCTコーヒー」はよく行われる方法です。
朝、一杯のMCTコーヒーを飲むと、脂肪が燃焼されやすくなり効果的です。
ナッツもオメガ3脂肪酸が豊富で、小腹が空いたときなどにオススメの食材です。
良質な脂質をたくさん摂取する
ケトジェニックの注意点
ケトジェニックダイエットにはいくつか注意点がありますので、まとめてみました。
- 脂質が不足してしまう
- 思いがけず糖質を摂ってしまう
- 便秘になりやすい
- 導入期に頭痛、だるさを感じることがある
- 最初の体重減少は水分
- 長期実施には向かない
脂質が不足してしまう
ケトジェニックダイエットはローファットダイエットと比べて難易度が高いと言えます。
中でも多い失敗は、十分に摂っているつもりでも脂質が不足してしまっているということです。
ケトジェニックでは1日の摂取カロリーの6割を脂質から摂らなければなりませんが、かなりの量を摂取しないと、必要な脂質量に届きません。
脂質の摂取量が足りないと、脂質をエネルギーにすることができず、糖質も入ってこないため極度のエネルギー不足に陥ってしまいます。
最初は特にPFCバランス計算アプリ等を使って計算することをオススメします。
MCTオイルやオリーブオイルなどを上手く使いながら、しっかりと脂質を摂取しましょう。
脂質はアプリ等で計算しながら、しっかり摂取しましょう
思いがけず糖質を摂ってしまう
もうひとつ多い失敗としては、無意識に糖質を摂ってしまうということです。
ご飯や麺類、パンに糖質がたくさん入っているのは誰もがイメージできると思いますが、野菜の中にも糖質の多いものがありますし、調味料にも意外と無視できない量が入っていたりします。
野菜では根菜類に糖質が多く含まれていますし、調味料では砂糖はもちろん、味噌やみりん、ウスターソースやケチャップ等にも糖質が多いので気を付けましょう。
ヘルシーだと思って、ノンオイルドレッシングを遠慮なくかけていたら、けっこう糖質が入っていたなんてこともよくある落とし穴のひとつです。
糖質量の多い食品を表にしてみました。(あくまで参考値です)
品名 | 糖質量 |
さつまいも(100g) | 30.3g |
じゃがいも(100g) | 16.3g |
かぼちゃ(100g) | 17.1g |
ごぼう(100g) | 9.7g |
にんじん(100g) | 6.3g |
たまねぎ(100g) | 6.9g |
砂糖(大さじ1) | 8.9g |
みりん(大さじ1) | 7.8g |
ウスターソース(大さじ1) | 4.8g |
ケチャップ(大さじ1) | 3.9g |
味噌(大さじ1) | 3.0g |
醤油(大さじ1) | 1.4g |
ノンオイルドレッシング(大さじ1) | 2.4g |
中には意外に感じる食品もあったのではないでしょうか?
しかしこれらを全て避けなければならないというわけではなく、一日に許容量を超えないようにコントロールしていけば良いと思います。
意外と糖質量が多い食品に注意!
便秘になりやすい
ケトジェニックダイエット中は食べられる物の制約が多く、穀物や根菜類から食物繊維が摂取できなくなるため、便秘になってしまう方が多いです。
ヨーグルト、納豆、キムチ等の発酵食品や、糖質が少なくて食物繊維の多い食材(葉物野菜、海藻類、キノコ類)を意識して食べるようにしましょう。
どうしても食物繊維不足になってしまうという方は、補助的にサプリメントを使うのもひとつの方法です。
ただ、サプリメントはあくまで「栄養補助食品」ですので、なるべく自然の食品から栄養素を摂取し、補助的に使うようにしましょう。
便秘対策のため、発酵食品や食物繊維を意識的に摂取しましょう
導入期に頭痛、だるさを感じることがある
導入期というのはケトジェニックを始めて数日~2週間程度のことですが、その時に頭痛やだるさを感じることがあります。
これは、いままでエネルギーとしていた糖質が全く入ってこなかったことにより、脳が栄養不足になっていることが原因です。
その期間の長さは人それぞれですが、特に最初の数日から一週間はこのような症状を感じる方が多いです。
しかし低糖質、高脂質な食事を正しく続けていれば、脂質をエネルギーにできるようになり、頭痛やだるさの症状も治まってきます。
導入期は多少カロリーオーバーになっても良いので、糖質の量をゼロに近付け、脂質を多めに摂取することでスムーズにケトーシスに移れると思います。
導入期は低糖質、高脂質を強く意識しましょう
最初の体重減少は水分
よくケトジェニックダイエットを始めた人が、「3日で3kg痩せた!」とか「一週間で5kg痩せた!」と言っているのを耳にしますが、それは本当の意味で「痩せた」ことにはなりません。
糖質を1g摂取すると、3gの水分が付いてくると言われています。
逆に糖質を1g抜くと、それとともに3gの水分が抜けるということです。
皆さんが目指しているのはおそらく「体脂肪を落とすこと」だと思いますが、ケトジェニックの導入期の体重減少はそれとは違い、「糖質とともに水分が抜けたこと」によるものなのです。
もちろん単純に体重が落ちたことはモチベーションアップにもつながりますし、悪いことではありません。
しかし大事なのは水分が抜けたあと、ケトーシスに入って脂肪を燃焼していくことだというのを忘れないようにしましょう。
糖質1gには、水分3gがくっついている
長期実施には向かない
もうひとつお伝えしておきたいことは、ケトジェニックダイエットは長期実施にはあまり向かないということです。
皆さんはご飯や麺類、パンを食べられない生活を一生続けられますか?
多くの人にとってそれは難しいことだと思います。
ダイエットは短期的なイベントではなく、長く続けられる「習慣」であるべきです。
また、ケトジェニックを長く続けることにより、糖質を代謝する能力が下がってしまうと言われています。
そうすると、糖質を摂取する生活に戻ったときに、糖代謝がうまくいかず、大きくリバウンドしてしまったり、糖尿病になってしまうリスクもあります。
また、糖質を長く避けていると、糖質に対する恐怖心が芽生えてしまうことも多いです。
ケトジェニックは2~3か月程度、長くても半年までにしておいて、体脂肪をある程度落としたら、ゆっくり糖質を摂取する生活に戻していくのをオススメします。
もちろんその際、糖質とともに水分が戻ってきますので体重は増えますが、それは水分による一時的な体重増加ですので気にしないようにしましょう。
ケトジェニックは2~3か月、長くても半年までにしておきましょう
ケトジェニックの助けになる食品
ここまでご覧になって、「私にはケトジェニックダイエットなんて無理!」と思っている方も多いのではないでしょうか。
私がケトジェニックダイエットを行っているときに助けになった食品をご紹介します。
ローソンのブランパンは、1個の糖質が2.2gというパンとは思えない糖質量です。
さらに高たんぱくで食物繊維も豊富、しかも美味しい!
パン好きの救世主となってくれる商品です。
ハイカカオチョコレート(カカオ70%以上)も低糖質で脂質も程よく含まれているので間食にオススメです。(食べ過ぎないように注意は必要ですが)
最近ではスーパーやコンビニでも様々な低糖質商品が販売されていますので、それらをうまく使いながらケトジェニックを進めていくのも良いと思います。
まとめ
今回はケトジェニックダイエットの方法や注意点についてまとめました。
ケトジェニックダイエットは難易度が高く、長期実施には向きませんが、短期的に脂肪を落としたい方にはオススメの方法です。
興味がある方は試してみてはいかがでしょうか。
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